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  ~懲りない傾向~

成否の問題じゃないのだよ

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盆休み前のことなので、もはや立ち読みなど不可能ですが、どこぞの雑誌が創刊800号を超えたか迎えたかで、脳天気な企画にあふれた1冊を出しておりました。この手の企画でよくとりあげられるのが、パイクカーの部類を年代ごとに紹介しつつ、それが成功したか否かを論ずるものです。

でもって、必ずと言っていいほどこれにひっかかってくるのが、X-90。最近では、これがエスクードベースということを知らない世代も当然のように台頭している、気がつけば17年も経過したクルマです。

今回も登場しており、解説については淡々と、特別間違いもなく書かれています。そう言われてみれば、まあクロスオーバーSUVの先駈けと言えなくもない。

それにしても、成功か否かの評定を「失敗」のスタンプ一つで片付けちゃうのか。それはとりもなおさず、この企画に出ているよそのメーカーのガルウイング量販車のようにブレイクしなかったから、つまり売れなかったからという、その一点での評価なのか。

そんなことはわかりきっている話で、だからこそこの手の記事はいつ読んでも面白くないのです。売れなければお話にならないことは、世の中百も承知の上なのです。しかしながら、X-90には一定のファンが生まれて、そのクルマのためのファンサイトまで出来上がった経緯もあるのです。

まず、そこが大事なポイントでしょう。

日本国内はおろか北米でも販売成績は芳しくなかったというX-90ですが、このクルマは売れた売れなかったの次元で語るものでもない。ファンサイトを、車専門のポータルサイトの車種別カテゴリに頼らず、自ら立ち上げたという事実こそ、X-90自身にとってはクルマ冥利に尽きるエピソードだと思います(さすがに最近は活動停止してしまったのか?)

もう一点は、このクルマの売りようで、保険をかけようと思えば、95年10月当時なら、まだまだエスクードのネームバリューを利用する手があった。つまりは「これってエスクードをベースに限定生産しちゃったのよ」と、『エスクード・林道小町リミテッド』とか、『エスクード・エスプレッソ』とでも称して出しても良かったのです。

モーターショーへの参考出品として生まれたモデルというのが、公式な出自で、ショーモデルの細部を化粧直しして、ほぼそのまま市場に送り出した無茶というか英断は、エスクードをベースとしながらも、別ジャンルの新しいアプローチとして、エスクードに寄りかかろうとはしなかった。

ここが、第二に評価すべきポイントだと思います。

よくよく見ると、エスクードどころか、当時だからNA型ユーノスロードスターとの共通部品も、ちゃっかりと使っているのがX-90の面白いところです。荷物が積めないんだとか、5人乗ったら狭いんだ(ノマド)とか言われていた時代に、こんなものを出してしまう。それはメーカーとしてのアピールや提案として、大いにエールを送りたいと、今だから言えるのかなあ。

この頃、カルタス系ではクレセントシリーズが登場して、エスティームが廃止となっていますが、マツダのレビューをOEMで持ってきてX-90と並べて販売していたら、エスクードではあり得ない、セダンとタルガトップ2シーターの(あくまで主観としての似たようなデザイン)変なコンビネーションが生まれていたかもしれません。いや、そういうの、出てたら買っちゃった恐れもあります。

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