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  ~懲りない傾向~

4500年の芸術

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女神1山形県舟形町の国道バイパス築造現場から、1992年に出土した西ノ前遺跡縄文土偶は、発見当初は全体が5つのパーツに壊れた状態だったそうですが、これを復元すると全高45cmにもなり、事実上日本では最大のサイズとなっています。

3年前に国宝指定され、実物は山形県立博物館で見ることができるそうです。地元の郷土資料館にあるこれは、レプリカ。それでもこの大きさには圧倒的な迫力を感じされられます。

女神2大きさもさることながら、この造形。顔は描かれておらず、腕に相当する造形もありませんが、上半身と下半身のうねりのバランスと、他に国宝指定されている北海道函館市をはじめ青森県亀ヶ岡や八戸、長野県茅野市の土偶たちには無いシンプルさと、自立し直立させるデザインは、縄文人のとびぬけた芸術的センスを思わせるのです。こんなものが20数年前まで埋もれたままだったことを考えると、国道築造もやってみるものです。さてこれは4500年前の女性を造形したと言われているけれど、等身なんか日本人離れしています。

女神3僕は亀ヶ岡の遮光器土偶の原寸大レプリカを所有しているので、この「縄文の女神」も複製品があるなら購入したかったのですが、地元には無かった。すると資料館の館長さんが

「あなた、そんなの自分で作りなさいよ」

と、ご自身が作ったという原寸大レプリカを見せてくれました。発泡スチロール板を積層させ、削り出したそうです。その手があったか(粘土じゃとても自立させられそうもない)

最近は3Dプリンターで削り出しもやってみたとサンプルを見せてもらうと、全体のバランスは絶妙ながら細部の再現はできず面白みがない。

「やっぱりね、こうかな、こうだなって手作業で作ってこそですよ」

で、どこから来なさった? 仙台からですけど実家は茨城です、などと世間話をしていたら、そんなに遠くから来なすったか! と、手作業製のちっこい女神と、その素体を譲ってくださいました。それが3番目の写真。着色の仕方まで教わってしまいました。

さあどうしよう。45cmものに挑戦しないとだめか?

2 Responses

ドグ・マック?色味的にはジグ・マックですかね(すいません不謹慎でした…)。

人体の特徴を直感的に捉えると、このようなシンプルかつ優雅なフォルムになるのですね。
当時は“抽象”なんて技法はなかった訳ですし、視たまま感じたままを形にしたのかな。
よくビーナス像に譬えられる女性型土偶ですが、それ以上に神々しく思われます。

  • このカタチはこれ一体だけに与えられた造形ではなくて、「このバリエーション」が確立していたというのも注目点だなあと思います。
    果たしてどんな意味を持って造り出されたのか、全くわかりませんが探求する時間と機会がほしいです。